2013年5月30日木曜日

小袖と現在の着物の違い(留袖)

留袖とは本来の意味は振りのない袖ということです。
普段は貴賤を問わずに小袖を着用するようになった、当初の小袖は全て留袖でした。留袖が当たり前のお袖の形でしたので区別をする必要がなかったのですが、振袖が着用されるようになりますと留袖、振袖の区別が必要になります。振袖はミスの専用着となり、結婚をすれば留袖仕立てにしたことから留袖と振袖の区別が必要になり、留袖はミセスを象徴する詞となります。
 元禄期以降は帯幅が広くなり、袖丈も次第に長くなり、享保年間になりますとミセスの留袖にも現在のきものと同じく脇が空けられ振りがつくようになります。ミセスも振りのある小袖を着用することは一般化すると文献にあります。
文献にはありますがが大奥の女房たちは、明治までは留袖で通したと言われています。また江戸後期の歌麿、春信、写楽などの浮世絵を見ましても年配者が振りのある小袖を着ている姿は稀です。そういうことから、ミセスになれば留袖仕立てにしたという風習は根強く続けられていた事が明確です。
 江戸の後期になりますと、紋付の江戸褄模様のきものが礼装として町家の間でも着用されることが一般化します。紋付の着物がミセスの代表するきものとなります。
紋付の裾模様の着物を現在では留袖と言いますが、昔からそのように呼称していたという事実は文献では見られません。
 私たち若い頃には、コーヒーを注文するときは必ず「温かいコーヒー」を下さいと言っていました。温かい飲み物と言えば他にも沢山あります。でも喫茶店の代表的な飲み物はコーヒーですから、「ホットコーヒー」と言わなくても「ホット」だけで通用するようになりました。
それと同じで、紋付裾模様がミセスの代表の着物ですから、何時の時からか紋付の裾模様のきものを、留袖と呼称するようになったものだとおもわれます。

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