2013年1月22日火曜日

エッセイ「人生探訪」仕事編No51

                                                              昭和の香り

 彼女のご主人は有名大学を出ておられて会社では役員をされている立派な方です。ですが経済成長期にはよく見られた企業戦士で家には寝に帰るだけという人だったそうです。
経済的には不自由はありません。そういう環境の多くの女性は適当に気を紛らわせて遊んで暮らしていますが、彼女は遊びで気を紛らわせる生活は真面目に生きている感じがしなくて嫌だと言っていました。彼女の天性というのはそういう意味です。
そいう感じ方の人ですから、自分のやる気に火がついてからは、ますます努力を重ねて見る見るうちに立派な指導者になりました。
 彼女には二人のお子さんがいました。お嬢さんたちです。
彼女がお稽古を始めた時は上の子が5年生くらいです。そして先生として活動を始めた時は高校生になっていました。先生として活動を始めてからは毎日教室がありますので、子供の面倒はみれません。そのことが彼女には気がかりでよく相談を受けました。
 子供は多感な年頃で進学を目指して勉強をしなければいけない。そして食事の支度もして妹の面倒もみなければいけない。家が貧しくて母親が働かなければ仕方がないという家庭も少なくありませんが、彼女の場合は経済的には専業主婦で十分にやっていけますので、母親の活動に対してどう受け止めているかという心配があったのです。

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