2012年12月28日金曜日

エッセイ「人生探訪」仕事編No29


 付のお稽古に来て、「楽しみ」をテーマに人生論をぶたれると、生徒たちはビックリして、着付けぐらいで「何を大仰な」と随分抵抗を受けました。中にはそういう堅苦しさが嫌で辞めて行かれた人も多数いました。それでも学院として運営していくには、信念と信条を貫き通すことが大切ですから、そのことを理解してくれない人は辞めて行ってもよいという考えでやっていました。
 教えるというのは戦いです。柔軟に思考しながらも自分の信念を押し通していかなければ侮られてしまいます。一般の学校の先生でも同じですが、生徒から侮られれば、生徒は頑張りませんので伸びません。駄目な先生の典型は自分が嫌がられるのはいやで好かれたいという思いが勝って、生徒の意向に合わせてしまう人です。
そういう確かな考えが持てるようになるには5年かかりました。やっと生徒から「先生」と呼ばれても面映ゆさを感じなくなりました。少しは指導者として成長したという感じです。
これで準備は整いました。準備は整いましたが、経営というものは手前の体制が整ったとしても、それで生徒が来てくれるというものではありません。
依然として経営の危機は続いていました。
学院経営は月謝だけでは成り立ちません。どんなに沢山の生徒が来てくれても、生徒の数が増えれば設備の充実や人件費の増加で赤字になってしまいます。

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