2014年5月14日水曜日

紫と白

冠位十二階の制は五行説の五常(人が常に守るべき五つの道徳)の仁、礼、信、義、智を冠位とし、徳は五行を統べるということから最上位に置いて、大小12階としています。当初は冠の色で位階を表していました。
徳冠は紫、仁冠は青、礼冠は赤、信冠は黄、義冠は白、智冠は黒で、これも五行説の五色に準拠しています。
 紫は最上位で白は5番目の臣下の色として定められていましたが、制度は幾度も改められて、奈良時代には白色は臣下の色から外れて天皇の色とされました。
ここで白色と紫は逆転したのです。紫は臣下の最上位にそして白は臣下の色から天皇の着用する色になりました。
 色は白き帛(はく=練絹)のことで、これは真昼の太陽の白光を意味し、白光は諸色を照らすということです。
染色を施していない素色の白色とは異なります。
 白色は清浄なる色、高貴な色とされましたので高貴な階層の人しか用いることは出来ませんでした。テレビの時代劇を見ますと、殿様等の高貴な人は襦袢や下着は白色を着用していますが、一般の武家は鼠色の襦袢を着用しています。
町人は通常は黒色の襦袢を着ています。これは奈良時代から官位相当の色がありそれが江戸時代でも守られていたことを表現しています。
町人がお金持ちになって、贅沢に白色の襦袢を着用していて、僭差違越(せんさいえつ=上下の礼を乱す)で無礼千万と所払いになったという逸話もあります。

0 件のコメント:

コメントを投稿