2012年7月20日金曜日

浴衣

長瀬 智子様

浴衣のシーズンです。
浴衣は当初は入浴する時に着用していた湯帷子(ゆかたびら)という入浴時専用の単の小袖だったのです。
帷子というのは単という意味ですから、お風呂に入る時の単の小袖ということです。
お寺に行きますと昔の浴場が保存されているお寺があります。
いずれも蒸し風呂です。大きな窯を浴室の床の下で炊いて蒸気を室内に引き入れて汗をかいて
垢を浮かせ湯を浴びるという入浴方で、汗を掻きやすくする。また高貴な人は肌を露にすることはしないという風習から入浴時に小袖を着用したのです。
当初は入浴する時に着ていたものですが、入浴方が湯船に浸るという風に変わってから入浴後のくつろぎ着として着用するように用途が変化しました。
木綿が一般に普及するのは江戸時代の後期に入ってからですから、それまでの湯帷子は麻です。
木綿が普及しますと木綿の方が安価で肌触りもよく、吸湿性にも優れているので、浴衣は麻から木綿に代わり、麻は夏の高級衣料として用いられるようになりました。
浴衣は入浴時または入浴後のくつろぎ着として用いられていたものですが、江戸時代の後期に貧しい階層の人達は浴衣を普段着として用いる風俗が見られるようになります。その風俗が次第に一般の人たちにも伝播して行き、夏の夜の散歩着として着用される様に用途範囲が発展しました。
浴衣は夕方から夜に着る散歩着として用いるというのがこれまでの常識でした。
最近は都心に行きますと、若者は朝から浴衣を街着感覚で着て遊んでいます。
これが一般化すれば浴衣は街着に昇格するかもしれません。

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